2018.12.25 クリスマスの星がみなさまの上に輝きますように。
今年はウェブデザインを新しくしたので、このサイトもまだまだ手入れが必要です。少しずつ改良してゆきますが、エドワーズのページや PHOTO ALBUM のページは PC 版のまま。これらは直すのがたいへんだから、スマートフォン対応にはしないつもりです。
2018.12.21 PRESIDENT Online に記事を書きました。無料で読めます!
「"ウソっぽいネタ"の拡散が気持ちいい理由――『正しさ』よりも『納得感』が重要」という題になっています(「論文」ページ)。内容は政治的な陰謀論で、ひとは正義を愉しむ、という話。『異端の時代』の延長線上で、先日の松山大学でした講演の一部を一般向けに書き直したものです。この PRESIDENT Online という雑誌・ウェブ媒体は、一応ビジネス系なのだろうけれど、何だかジャンルがいろいろ広がりすぎていて、対象となる読者層がいまひとつよくわかりませんでした。
2018.12.13 『中央公論』新年号に五木寛之さんとの対談が載りました。
「新聞広告で見たぞ」と知人に言われた表紙は、恐れ多いことに五木寛之さんと山中伸弥教授との間にわたしの顔が出ています(MEDIAページ)。。。そのすぐ下には奥泉光氏も。五木さんはわたしの『異端の時代』をお読みになり、『カモメのジョナサン』(完全版)をお送りくださいました。半世紀前に世界的なヒットとなったあの本は、まさに正統と異端の話なのです。五木さんはご自分で訳された本ですが、内容にはやや異議をお持ちで、わたしは対談しながらその心意気に触れることができました。
2018.12.10 kotoba(集英社)に著者インタビューが掲載されました。
2018.12.08 松山大学法学部創立30周年記念のシンポジウム「ポピュリズムの時代にどう向き合うか」
昨年の社会思想史学会以来の遠藤泰弘先生による企画です(LECTURESページ)。他に、板橋拓己先生(成蹊大学)がドイツ、高山裕二先生(明治大学)がフランスのポピュリズムの話。わたしは、クラステフの最近著から「移動=革命」論を使いましたが、実はそれは半世紀前にハーシュマンが看破していた、という話。人権宣言や平等思想のもたらしたアイデンティティ政治が結果的に社会の分断とポピュリズムを産んでいる、というフクヤマのやるせない指摘は、もう少し議論してみたかった。松山の街並みは40年前と大きく変わり、夜は急に冷え込みましたが、法学部の先生方との交歓会はとても暖かいものでした。
2018.12.02 今年もアドヴェントに入りました。毎年この季節になると、ろうそくを1本ずつ灯します。
「週間読書人」が先日11月21日の巽さんとわたしの対談をまとめて記事にしてくれました(MEDIAページ)。とても楽しそうな雰囲気が伝わる記事になっています。振り返ってみると、ホフスタッターは半世紀前に今日の陰謀論的なパラノイア傾向を指摘していたわけで、しかもそれが一種の政治手法「スタイル」としてアメリカに定着していることを見抜いていた、というスゴイ話。わたしが文学の現実把握法として語ったのは、いつか『人間に固有なものとは何か』シリーズで古島友子先生が話された朱熹の格物致知説のことです。
2018.11.28 西南学院大学で2日間のチャペルトーク。
西南学院大学に行ったら、先日拙著のとてもよい書評を書いてくださった法学部の田村先生(10/26)、逆にわたしが先日書評を書いた本の訳者の栗原先生(3/24)がおられました。今井先生が神学者になる前は素粒子物理学の研究者で、今でもピアニストだなんて、学会で長い間お付き合いしていてもまったく知りませんでした。実に役者揃いです。聴衆の中には、西南の卒業生でICUに娘さんを3人とも送り、ついでにご自身もICUの大学院に学ばれた超才媛ご一家のお母さまもおられました。
2018.11.21 東京堂書店ホールで巽孝之氏との新刊書トークイベント。
「異端の時代のパラノイド・スタイル――ホフスタッターを超えて」という題ですが(LECTURESページ)、巽孝之氏の新著『パラノイドの帝国』(大修館書店)刊行に合わせてのイベント企画で、お誘いもテーマもみんなお任せ。巽先生とはアメリカ学会の編集委員会以来、昨年も学会の鼎談でご一緒しましたし、今回もとても楽しい対談でした。反知性主義と陰謀論とパラノイド論に70人もお集まりいただいたのは、執筆者側としてはありがたいですが、どこか不穏な感じがしないでもありません。打ち上げには、かの高名な小谷真理氏も合流し、ギョーザとビールで夜遅くまで盛り上がりました。
2018.11.13 土曜日の「読売新聞」夕刊で宇野重規先生が拙著をご紹介くださっています。
11月10日の「解題新書」というコーナーで、テーマは「いじめを生む環境とは」です。荻上チキさんの『いじめを生む教室』から山口周『劣化するオッサン社会の処方箋』へ、そしてわたしの『異端の時代』という順で、トランプ大統領の言動をグローバルレベルでの「いじめ」と捉え、ポピュリズムに通じる民主主義の歪んだ帰結を論じておられます。わたしが最終章に書いた言葉が、「いじめが横行する時代への最大の対抗策」になるなんて、思い至りませんでした。
2018.11.09 朝日新聞社とニューヨーク・タイムズとの提携90年記念シンポジウム。
NYタイムズ発行人のSulzberger氏と、コラムニストのThomas Friedman氏。2人の講演は面白かったけれど、シンポジウムは話題がまったく噛み合わなくてパネリスト間の議論もなかった。唯一光っていたのは、会場から一人だけ質問したICU生。わたしの卒論学生です。就職も決まっていますが、「彼女ならNYタイムズでも欲しい」と言ってもらいました。とっても誇らしかったよ。
2018.11.03 「国語力こそグローバル社会の鍵」(朝日教育会議・二松学舎大学)大賛成!
英語4技能を入試に使うなんて、まったく愚かです。「グローバル化」って言うけど、海外でそんなことをしている大学はありません。話す能力は、入学後に伸ばせば十分です。それはICUの教育で実証済み。そもそも深い思考力を育てるのは、話すことじゃなくて読むことと書くことです。日本語でしっかり考える力を身につける方が先。「母語の能力以上に外国語の能力はつかない」その通りです!そもそも大学入試をいじって高校教育を変える、という発想が間違っています。
2018.10.28 NHK「クローズアップ現代+」にインタビュー出演します。29日(月)夜10時から。
先日取材を受けたNHK番組の放送日時が決まったそうです。「なぜ起きた?弁護士への大量懲戒請求」というタイトルで、今月23日に東京地裁で最初の判決が出たことを受けての放映です(MEDIAページ)。わたしの役目は、この事件の理由や背景をポピュリズムや「正統」意識との関係でごく短く説明すること。編集の結果は知りませんので、変なカオになっていたりしても笑わないでください。
2018.10.26 西日本新聞に『異端の時代』の書評「丸山眞男の再発見へと誘う」が掲載されました。
評者は田村元彦先生(西南学院大学)です(BOOKSページ)。「丸山眞男の再発見へと誘う」という題で、他の出版メディアの人には「さすがに丸山はもう古いのでは」と言われて凹んでいたので、とても嬉しい書評です。日本人の「異端好み」の話も、正統と異端の通念を覆してゆく、という目論見も、書き手の伝えたかったことをきちんと取り上げていただきました。ちょうど来月、西南学院大学へ講演に出かけます。
2018.10.20 下の講演予告(巽孝之氏との対談)をご覧ください。それから、今日はICU祭で「ICUトーーク!」。
このHPを新しくしたら、行事や講演の予告をする欄がなくなってしまいました。11/21には、巽孝之氏とのトークイベント「異端の時代のパラノイド・スタイル――ホフスタッターを超えて」(東京堂書店)をやります。巽先生は手練れのおしゃべりなので、わたしはもっぱら聞き役ですが、きっと面白い話が聞けると思います。申し込みが必要なので、ぜひどうぞ。
2018.10.13 「公明新聞」に「現代政治の本質を考える」と題する拙著の書評が載りました。
評者は現代思想やヨーロッパ系哲学の大家で、「宇波彰現代哲学研究所」という活発なブログを運営しておられる宇波彰先生です(「著者」ページ)。拙著を「正統と異端を宗教の次元で論じようとするのではなく、現代政治の本質をどう理解すべきかを考える政治論である」と評しておられ、書き手の趣旨を正面から受け止めていただいた、たいへんありがたい書評です。某ネット通販大手の書評では、そこまで読み込まれていない感じ。やっぱりこの本は「玄人受け」するのかな。
2018.10.11 スライドショウの写真は、秋のICUキャンパスと泰山荘「一畳敷」の一部です。
先週10月6日に本学で「松浦武四郎生誕200年記念イベント」が開かれました。数奇な運命を辿った末に、ICUキャンパスの一部となった泰山荘。その貴重な文化財を発見した Henry Smith 教授(コロンビア大学)、松坂市の松浦武四郎記念館主任学芸員、そして北海道博物館学芸主幹という方々をお迎えして、密度の濃いシンポジウムになりました。北海道の名付け親である松浦が、札幌バンドの宮部金吾と親交があったとは知りませんでした。中島知久平さんありがとう。
2018.10.06 今朝の朝日新聞(新書コーナー)に拙著の短評が載りました。
書評の著者は明記されてありませんが、早川敦子先生(津田塾大学)です。あの短い文章の中に、拙著の核心がよく読み込まれて捉えられており、これもとてもありがたい書評になりました。おかげさまで早々に重版が決まったとの報せを受けました。SNSでの反応が特によいそうですが、わたしはツイッターやブログをやらないので、どこにあるのかよくわかりません。
2018.10.02 読売新聞(文化欄)に著者インタビュー記事が掲載されました。
わたしがこの本で言いたかったことが、どんぴしゃりで文字になっています(BOOKSページ)。記者(小林佑基さん)の取材を受けているうちに、自分の趣旨がより鮮明になってゆく実感がありました。「民主主義発達、正統揺らぐ」「情報公開で信頼性に疑問符」「個人主義進み組織力弱化」という見出し語を追うだけでも、それがよくわかります。三浦瑠麗先生の書評と相まって、またアマゾンのベストセラー1位 印が出ました。ありがたやありがたや。
2018.10.01 今年4月に亡くなった古屋安雄先生の追悼文を書きました。
ICU教授でICU教会牧師だった古屋先生、今年の4月に亡くなりましたが、その追悼文を日本ピューリタニズム学会 Newsletter に書きました(MEDIAページ)。まことに「楽観的思考」の教科書のようなお人柄で、子どものような信仰をもった先生でした。英文なのは、5月に United Board の会議で話したものに手を入れて仕上げたからです。ほぼ同じ頃、思想史の長清子先生も100歳で亡くなられました。
2018.09.29 「現代ビジネス」にもう一つ書きました。カトリック教会の性的虐待問題についてです。
2018.09.23 今朝の読売新聞で三浦瑠麗氏が拙著『異端の時代』を書評しています。
とてもありがたい書評です(「著書ページ」参照)。なぜなら、きちんと読んで正確に評してあるから。書評をするなら当然だろう、と思われるでしょうが、昨今はそうとも限りません。人びとの思い込みを覆すのは、なかなか大変です。今回の本は、歴史的検証を重ねた前半が難しそうで読んでもらえないのですが、三浦先生は特にそこを適切かつ簡潔にまとめてくださってあります。最後の「疑問」は、現代の反グローバリズムや国民国家復権という流れに政治学者としての「希望」を表明したものですね。これも信仰告白としてきっぱりしています。
2018.09/20 昨年11月にやった社会思想史学会での発表が刊行になりました。
昨年11月の社会思想史学会で行われたシンポジウムが論文になって送られてきました(「論文」ページ)。わたしは非会員ですが、池内恵・高山祐二・有江大介といった諸先生方と実に楽しく盛り上がった討論の時間でした。これがご縁になって、今年12月には松山大学でポピュリズム論をめぐるシンポジウムが開催される予定です。高山先生ともまたご一緒します。
2018.09.11 現代ビジネスに新しい試論を書きました。オンラインで無料で読めます。
現代ビジネスに「トランプ氏は『新しい正統』となるか?根深いアメリカ的心性と陰謀論」を書きました。これで3本目ですが、若者たちは本も読まないし新聞も読まないので、こういうメディアはとてもありがたいです。原稿を書くのに他の掲載エッセイを読みましたが、いずれも読み応えがあります。特に王谷さんの「ネトウヨ体験記」と八田さんの「インセルによるテロの話」が考えさせられました。
2018/09.11 日本工業倶楽部「素修会」で講演。気がついたら2回目でした。
日本工業倶楽部「素修会」で講演。行ってから気がついたけれど、今回は2回目でした。最初は2016年3月の「木曜講演会」で、ちょうどトランプ大統領の登場をどう理解するか、という頃でしたが、今回は、就任後2年近くなる彼の支持率が依然として高い、という不思議について話しました。幹事役の方がが三菱マテリアル不動産の元社長で、わたしの最近著の方(岩波新書)もよく読んでおられました。
2018.09.09 ご覧のとおりホームページを改築しています。スマートフォン対応をよくするためです。
前回の改訂が 2014年5月だったので、4年ぶりです。そのときもスマートフォンへの対応が主目的でしたが、いろいろ参考書をみながらの素人仕事だったので、不十分でした。今回の変更では、News and Updates が初期画面では5つだけですが、それぞれカテゴリー分けされていて、絞り込み表示ができます!戻るときは上のスライドショーをクリックしてください。ただし、過去分のアーカイヴは、全部 になっています。古いのをを一つ一つカテゴリー分けするのはたいへんなので。
2018.08.26 『異端の時代――正統のかたちを求めて』売れ行き好調です。
2018.08.20 『異端の時代――正統のかたちを求めて』(岩波新書)が出ます。
『異端の時代――正統のかたちを求めて』(岩波新書)が出ます。10年くらい抱えていたテーマで、本当ならもう少し早く出ていたはずなんだけど。なお、現在このホームページの改装中です。夏休みの宿題の一つでしたが、スマートフォン対応がぐっとよくなって、もうすぐ新装開店の予定。
2018.08.08 新聞の書評に『未来職安』(柞刈湯葉)が載っていたので読みました。
新聞の書評に『未来職安』(柞刈湯葉)が載っていたので読みました。「生活基本金」という社会経済システムの導入で、結婚や家族という現行制度の本来的な不思議さが際立つ、というとても刺激的なストーリー展開。他にも、「ネコッポイド」とか「キリスト教徒でベジタリアンでアセクシュアル」とか、才気煥発。人物の性格描写なども首尾一貫していて、最初のうちはとても面白いのだけど、それだけにだんだん展開が窮屈になって、最後はもういいや、という気になってしまうので、★4つ。あと、87頁校正ミス。この作者の本職は、大学の研究職とどっちなんだろう。
2018.08.01 細谷雄一『自主独立とは何か』が面白かった。
細谷雄一『自主独立とは何か』が面白かった。前後編2冊、しかも3年前の『戦後史の解放』の続編ですが、日本の歴史教育がまったく触れないところで、ぜひ多くの人に読んでもらいたい。日本が自主憲法を起草する機会をみずから失った理由。独善的な正義を訴え続けた法学者と、戦争放棄が戦後体制の確立に不可欠なことを理解した外交官。他にも、丸山平和論の陥穽とか、吉田茂の英語が下手で喝采を浴びたのは通訳者のおかげだったとか、興味深い話が満載。それにしても、これらの人々が日米で希求した「国際信用」とか「正義に則った外交」とか、最近はどこへ行っちゃったんだろう?
2018.07.29 ビル・クリントン大統領が書いた小説 The President is Missing を読みました。
ビル・クリントン大統領が書いた小説 The President is Missing を読みました。共著なので、どこまで彼が書いたのかわかりませんが、面白くて2日で読んでしまった。スパイ小説系で、サイバーテロ系で、ホワイトハウス系の話が好きな人にはお奨めです。でも、最後は説明が多すぎてアンチクリマクス、それに人間関係としてはちょっと残念で哀しい。
2018.07.25 2018年度上半期の「トップポイント」ベスト4位にわたしの本が入りました(BOOKSページ)。
2018年度上半期の「トップポイント」ベスト4位にわたしの本が入りました(BOOKSページ)。ビジネスリーダー1万人が選んだ結果だそうです。1位は新井紀子著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』。ちょうど夏の研修会で引用しようとしていた本でした。
2018.07.17 読売吉野作造賞の授与式。
読売吉野作造賞の授与式。深井智朗先生『プロテスタンティズム』おめでとうございます。受賞理由に「トランプの成功は神の世俗的な祝福だということがよくわかった」なんて話が出ていました。あれ?そういえば何となく記憶していますが、この賞、2016年は受賞作なしでした。
2018.07.09 「経営文化フォーラム」で、アメリカはなぜ国際秩序に背を向けるのか、というお話。
「経営文化フォーラム」で、アメリカはなぜ国際秩序に背を向けるのか、というお話(LECTURESページ)。フェイクニュースの氾濫では、ファクトチェックなどの努力そのものがプレイヤーの一人としてしか受け止められていないので、対応が簡単ではありません。ところでこの団体、経済産業省と財務省関係OBの方々が主ですが、みなさん勉強家で仲がよい。最近もアルメニア大使のポゴちゃんなどICUゆかりの方々が登場していて楽しそうでした。
2018.07.01 左欄の通り、今年は夏の卒論合宿をやります。
左欄の通り、今年は夏の卒論合宿をやります。卒論生は2人だけですが、卒業生を含む8人くらいが参加予定。全体講義とディスカッションに、朝日新聞に掲載された國分功一郎氏とマルクス・ガブリエル氏の対談、それとアレントの『全体主義の起源』第3巻から一節を読みます。ご興味がおありの方はご連絡ください。なお、ちょうどその頃わたしの岩波新書が出ます。
2018.06.28 アメリカ学会誌『アメリカ研究』に昨年末にやった座談会が掲載されました。
アメリカ学会誌『アメリカ研究』に昨年末にやった座談会が掲載されました(「論文」ページ)。今年の特集は「エリートの知・民衆の知」で、反知性主義の再検討なども含まれています。今号から市販するとかで、学会誌もなるべく売れるような内容を組み込まなければなりません。アメリカ学会は理事役員や編集委員の回転も適切で、若い研究者が次々と育っているのは頼もしい限りです。
2018.06.23 ピューリタニズム学会でイスラム寛容論との比較をめぐるシンポジウム。
ピューリタニズム学会でイスラム寛容論との比較をめぐるシンポジウム(LECTURESページ)。袴田康裕先生(神戸改革派神学校)の長老主義論と塩尻和子先生(筑波大名誉教授)のイスラーム公共宗教論。わたしは中世的寛容論に触れた後、おまけでモロッコ史から寛容の理念に関する問いかけをしたのですが、そこは何も質疑が出ませんでした。しくしく。でも、今後に向けて政教分離や祭政一致という別の共通テーマも浮上し、実りの多いディスカッションでした。非学会員でご出席の方々に感謝を申し上げます。
2018.06.22 「21世紀を考える会」第168回で話しました。
「21世紀を考える会」第168回で話しました(LECTURESページ)。「なぜ1年半前にトランプ政権が誕生したか」という問いと、「なぜ今でもトランプ支持率は低下しないのか」という問いは、実はそれぞれ少し違った答え方が必要です。この会は、IBMの方々が世話役をしておられますが、列席者は政府官庁と関連諸機関の方々が多く、プロファイルも質疑のレベルも高い聴衆でした。
2018.06.16 北部のタミル人地域に来ると、「内戦は終わったが対立は終わっていない」という現実がよく見えてきます。
北部のタミル人地域に来ると、「内戦は終わったが対立は終わっていない」という現実がよく見えてきます。壁に残る生々しい銃弾の跡、命がけの抵抗の物語、破壊された高等教育機関、言語の壁と差別、過激派と市民の深い溝、民族間ばかりでなく同じ民族内での対立と殺戮。しかし、みんなもとをたどれば、宗主国イギリスがインドからタミル人を労働力として入植させ厚遇したことに対する多数派シンハラ人の長い怨嗟に辿り着く、という悲しい歴史。しかもそこに、カーストの差が加わり、宗教の違いが加わり、さらにフクザツになります。
2018.06.10 United Board の理事会でスリランカに来ています。
United Board の理事会でスリランカに来ています。緑豊かな美しい国ですが、首都の主要部分はオランダ統治とイギリス統治の名残が濃厚。26年も続いた民族間の内戦で、国は深く分断されたまま、何とか平静を保っている感じ。インドからほんの18キロしか離れていないのに、今そこには船もはしけも一切交通がない、という不思議も、ようやく理由がわかってきました。
2018.06.01 新しく始められた ICU Cornerstone Lecture の第一回。
新しく始められた ICU Cornerstone Lecture の第一回。大学時代の数年間は、その後の人生を大きく左右する決定的な時間だということを話しました。「家造りらの捨てた石が隅のかしら石になった」というのが命名の由来。スタッフの主導でとてもよいプログラムができました。今ICU生のみなさん、どうぞよい勉強をしてね。人生を変えるよい出会いが待っているはずです。
2018.05.22 鹿島平和研究所で講演。
鹿島平和研究所で講演(LECTURESページ)。実業界の方々にお話すると、どんなテーマでも結局は「今後の景気はどうなるんですか」みたいな質問になることがありますが、今回はご出席の方々の造詣が深く、豊かな歴史観を伴った対話になりました。リベラルアーツ志向もそうだし、日本の企業風土も少しずつ上から変わってきてるな、という実感。
2018.05.20 八ヶ岳で新入生リトリート。
八ヶ岳で新入生リトリート。その後、単線区間もある中央西線に乗って名古屋経由で広島へ。被爆十字架などの歴史がある広島流川教会の向井牧師は、松山時代にお世話になった恒夫先生の息子さん。いろいろなつかしい話を聞きました。新しくできた「おりづるタワー」にも登って、原爆ドームを上から見てきました。でもいちばん印象的だったのは、街に溢れるカープファンの赤い大波。
2018.05.12 「国際文化表現学会」(LECTURESページ)。
「国際文化表現学会」(LECTURESページ)。副会長の高橋章先生からお招きをいただき、十文字学園女子大学にはじめて行きました。日本大学の関係者が多い学会で、関心も分野も多様な発表報告が並んでいます。特に「結婚という制度」のシンポジウムが面白そうでした。
2018.05.08 『週刊ダイヤモンド』に「AIで代替できない教養を教えるリベラルアーツ」のインタビューが掲載されました。
2018.05.03 大学のホームページが新しくなりました。
大学のホームページが新しくなりました。大きな変更点は、スマホ対応の進化。ダイナミックで魅力たっぷりなので、ぜひ体験してみてください。わたしのこのホームページも、しばらく前にスマホ対応にしたのですが、何せ素人のやることで、とても不十分です。デザインもひと世代前のものだし、早く新しくしたいけれど、なかなか手が回りません。
2018.04.25 グレーター東大塾(LECTURESページ)。
グレーター東大塾(LECTURESページ)。多様な受講生でした。年配の教養講座志向の方、これからアメリカへ赴任する方、すでに短期間アメリカ滞在経験のある方。重工業の社長さん、地方議会の議員さん。直近の課題への答えを模索する方、大きな歴史的難問に取り組む方。わたしの役割は、年月が経っても意義をもち続ける今日の新しい古典を紹介することですが、ほんとはもう少しハーシュマンの「失望の経済学」の話をしたかった。
2018.04.22 古屋安雄先生ご葬儀。
古屋安雄先生ご葬儀。加山久夫先生が司式でしたが、式辞は大木英夫先生で、往年のオールスターゲームでした。並木浩一先生が弔辞を述べられ、一同爆笑。91歳でとても happy なお葬式でした。ご本人もきっと楽しまれたでしょう。ご家族の言葉からもそれがよくわかります。まことに、草創期のICUのキリスト教の基本的な性格を形作った唯一無二の先生でした。追悼。
2018.04.14 敬和学園大学で「新入生歓迎公開学術講演会」(LECTURESページ)。
敬和学園大学で「新入生歓迎公開学術講演会」(LECTURESページ)。よく考えると、新入生歓迎と公開学術講演とは、やや相性に問題があるように思います。新入生のみなさんはよく集中して聴いてくれましたが、質疑になるとやはり年配の方ばかりでした。リベラルアーツの知を振り返って考えるには、ある程度の年月が要るのでしょう。その両方にかかわって面白いのがソニーの AIBO の話。
2018.04.07 毎日新聞に連載されている江川紹子さんの「音楽の窓から世の中を眺めて」に、わたしのインタビューが載りました。
毎日新聞に連載されている江川紹子さんの「音楽の窓から世の中を眺めて」に、わたしのインタビューが載りました。「正統なき世界のポピュリズムの台頭――びわ湖リングを見て」です。今なら無料で読めます。記事の中で、ワーグナーのスコアに忠実な演出家が、最近のトレンドになっている「読み替え演出」を批判しています。わたしもまったく同感。百年前にチェスタトンが言った通り、芸術家には首の短いキリンを描く自由はありません。正統の所在が不透明な時代ですね。
2018.04.01 Happy Easter! ついに『新キリスト教組織神学事典』が出ました(「その他ページ」「事典項目」参照)。
Happy Easter! ついに『新キリスト教組織神学事典』が出ました(「その他ページ」「事典項目」参照)。3年前に出した原稿で、もうお蔵入りするかな、と思っていましたが、教文館と東神大の教授陣がようやく本腰を入れて絞り出した、という感じです。まさに復活節。『アメリカ文化事典』もたいへんだったけど、次にこれが出て、あとは『新キリスト教大事典』。こちらはまだまだ先かな。
2018.03.24 今朝の日経新聞に『ハリウッド映画と聖書』(みすず書房)の書評を書きました(MEDIAページ「書評」欄)。
今朝の日経新聞に『ハリウッド映画と聖書』(みすず書房)の書評を書きました(MEDIAページ「書評」欄)。類書が多いので、この本の独自性を探して書くのに少し苦労しました。アメリカで暮らした7年といっても、学生だった5年間とサバティカルで過ごした1年+1年では、年齢も境遇も家族の状況も違います。そしてそういうことを振り返ると、何か急にどっとくたびれて歳を取る感じ。
2018.03.21 『ポピュリズム』(白水社)が出ました。
『ポピュリズム』(白水社)が出ました。Oxford UP の "A Very Short Introduction" シリーズの一巻です。高山裕二先生の訳文も解説も適切だし、日英の類書の中でもいちばん深みがあってお勧めです。英語版からして小冊になるだろうと思い、「寸鉄の洞察力」と推薦文を書いたのだけれど、できあがってみると192頁もあって案外大きい。今まで英文から引用してきたのを、今後はここから引用し直さないと。
2018.03.18 Volubilis は朝顔のことだ、というのがなかなか確定できません。
Volubilis は朝顔のことだ、というのがなかなか確定できません。凱旋門の上に "VOLVBILI" と読める字があります。これがベルベル語で "oualilt" つまり "oleander" つまり夾竹桃のことだ、ということになる。"Morning Glory" は朝顔と訳されるけれど、現地に咲き乱れていた花はずいぶん見かけが違います。この花は日本語でアサガオと言うんだ、と教えてくれたのは、200ディルハムも払って雇った現地ガイドですが、ほんとかどうかわからない。だとしても、この廃墟の遺跡に2000年以上にわたって同じ花が咲き続けていて、それがこの古代都市の名前になっているなんて、圧倒的なロマンを感じます。ちなみに、アサガオってヒルガオ科で、しかもサツマイモ属でナス目でキク類だって書いてあるけれど、そんなにいろいろ言われたら何のこっちゃぜんぜんわからないじゃんか!
2018.03.09 そして今度は紀元前ローマの遺跡。
そして今度は紀元前ローマの遺跡。のどかな田園を進むと、忽然と古代都市が現れます。帝国の権勢がこんなアフリカの山奥にまで伝わっていたことに驚きます。ベルベル人の支配が続いた後、権力がフェスに移って廃れますが、それが1755年のリスボン大地震で埋まってしまい、発掘されているのはまだ半分以下。現在はユネスコ世界遺産。ところで、Volubilisって朝顔のことなんだって。
2018.03.08 メクネスの「4万人のキリスト教徒を閉じ込めた」という遺跡も見ました。
メクネスの「4万人のキリスト教徒を閉じ込めた」という遺跡も見ました。ほんとかな。地下牢にしては天井が高すぎるし。あるいはこれも、イスラム教徒の不寛容や残忍さをなぞる伝説かも。ただし今は、囚人の絵を垂れ幕にしたり、町自体がそれを宣伝し利用しているみたい。
2018.03.07 その14世紀にモロッコ一帯を支配していたのがマリーン王朝で、町のすぐ外の丘に美しい遺跡があります。
その14世紀にモロッコ一帯を支配していたのがマリーン王朝で、町のすぐ外の丘に美しい遺跡があります。王家の墓らしいのだけれど、誰が埋葬されているのかは不明。ともかく歴史のロマンを感じさせます。エディンバラの丘陵に忽然と現れた遺跡と同じ。
2018.03.06 すごいものを見せてもらいました。
すごいものを見せてもらいました。イブン・ハルドゥーンの自筆署名が入った古書。ってことは、14世紀の本です。カラウィーン・モスクの中にある世界最古の大学で、図書館の中を見せてもらっただけでもありがたいのに、Al Akhawayn 大学学長のはからいで、モロッコのイスラム省から特別許可をいただき、解説もしてもらいました。署名を入れて寄贈したのは、それが将来にわたって売りに出されたりしないように、という誓約なのだそうです。他に、同時代のアラビア語ルカ福音書も。
2018.03.05 モロッコに来ています。
モロッコに来ています。既成イメージとは違うことばかり。カサブランカ空港が映画のようにロマンチックでないのは当然としても、土地は豊かな緑に覆われていて羊さんがもぐもぐ、雨がざーざー降っていて、寒くて雪が積もっています。街並みは地中海系のこじゃれた赤い屋根で、実に多種多様な人びとが行き交います。アラビア語とフランス語に加え、ベルベル語のアルファベットがとても奇妙でなんだか不思議なインディ・ジョーンズの世界。
2018.02.27 そびえ立つ神学の塔! ってよくわからないけど、東京電力さんが神学の塔を建ててくれた?
そびえ立つ神学の塔! ってよくわからないけど、東京電力さんが神学の塔を建ててくれるわけないので、まあ東京神学大学のそばを通る道だ、ということなのでしょうね。問題は、これが ICU の正門に立っていること。東神大の方が有名なのかな。
2018.02.19 明日のNHK解説「視点・論点」で「富と成功の福音の国アメリカ」という題で話します(MEDIAページ)。
明日のNHK解説「視点・論点」で「富と成功の福音の国アメリカ」という題で話します(MEDIAページ)。前回は大統領選挙の直後でしたが、今回は国内外に蔓延する陰謀論の由来など。ただ、放送はすごーく早い朝なので、よほどの物好きでない限り、誰も見ないと思います。
2018.02.10 『婦人之友』という雑誌に「中東情勢の深層」という記事を書きました(MEDIAページ)。
2018.02.01 Net IB News というオンラインの経済情報誌に、拙著のインタビューが掲載されています(MEDIAページ)。
Net IB News というオンラインの経済情報誌に、拙著のインタビューが掲載されています(MEDIAページ)。5回連続とかで、編集者の意気込みが感じられます。実業家向けなので、「不識塾」の説明もていねいになされており、リベラルアーツを通して物事の本質を見極める力を養うことが、真に尊敬されるグローバル経営者に必要なのだ、とも語られています。
2018.01.25 『アメリカ文化事典』(丸善出版)が出ました(MEDIAページ「事典項目」をクリック)。
『アメリカ文化事典』(丸善出版)が出ました(MEDIAページ「事典項目」をクリック)。アメリカ学会50周年を記念して、ここ3年ほど努力を重ねてきたものです。中項目主義で見開き1項目、読んで楽しい「事典」に仕上がりました。900ページ超で2万円です。頁をめくってみてあちこち目立つのは、トランプ大統領登場の衝撃。世界史的な事件だということがよくわかります。
2018.01.18 月刊誌 Voice にわたしの近著についてのインタヴューが載っています(BOOKSページ)。
月刊誌 Voice にわたしの近著についてのインタヴューが載っています(BOOKSページ)。誌面とは別にウェブ版 (WebVoice) でも一部紹介されていますので、ご覧ください。「トランプ大統領を生み出した<富と成功>の論理と<反知性主義>」という題で、編集者がよくまとめてくれてあります。写真もよく撮れています。カメラマンがいっしょに来てくれた時はいつもいいですね。
2018.01.13 石丸友里先生(天体物理学)のお別れ会。
石丸友里先生(天体物理学)のお別れ会。専門外のわれわれにもわかりやすくお話くださったことを覚えています。人間の身体を作る諸元素は、星の大爆発でできた星屑を受け継いでいるんだよ。地球が豊かな惑星であるのは、今はもうこの世にはない星々のおかげなのです。リベラルアーツの星のような先生を喪いました。それにしても礼拝堂寒かった。何で暖房入れなかったのかな。
2018.01.10 今月末に公開予定の映画「デトロイト」を観ました。
今月末に公開予定の映画「デトロイト」を観ました。1967年夏のデトロイト市で起きた黒人暴動を扱ったもので、圧倒的な現実感に打ちのめされます。キング牧師が暗殺される前年のことで、知られていなかった事実や体験談を掘り起こすのはたいへんだったでしょう。閉じられた空間の中で起きる白人警官の暴力は、植民地時代以来の「魔女狩り」の心理経過に準拠していますね。最後に主人公は教会のゴスペル音楽に転向しますが、あえかな「救済」のメッセージもそこに込められています。
2018.01.06 「京都ヘーゲル讀書會」に懇親会だけ参加。
「京都ヘーゲル讀書會」に懇親会だけ参加。ふだんは京都で集まっているとのことですが、意外に人数がいて嬉しく思いました。ヘーゲルだけを読んでいるわけでもなく、専門の研究者だけで集まっているわけでもないからでしょう。ICU卒業生が多いのも頼もしい感じです。やっぱりリベラルアーツは哲学だ!特に今日お会いした若い博士課程のみなさん、どうぞそれぞれの大学でがんばってね。
2018.01.03 『アステイオン創刊30周年ベスト論文選 1986-2016(冷戦後の世界と平成)』が出ました。
『アステイオン創刊30周年ベスト論文選 1986-2016(冷戦後の世界と平成)』が出ました。第IV巻「思想・文学・社会」に、わたしの書いた「幸福を追求するアメリカ人――反知性主義と宗教」が収録されています(BOOKSページ「共著」バーをクリック)。それにしても、全4巻で35,000円、しかも分売不可って、買ってくれる人いるのかな。。。
2018.01.01 あけましておめでとうございます。
あけましておめでとうございます。「年賀状を出しましょう」なんていうCM(関ジャニ?)がある世の中ですが、えへん、わたしはもう10年以上一枚も出しておりません。すみません、クリスマスカードも。今年も不義理をしているみなさまへのお詫びから一年を始めます。昨年のニュースは左欄 (ARCHIVES) に移しました。この過去年分のところが長くなってきたので、手が空いたらちょっと直すつもり。