さて質問です。アメリカはヴェトナムで勝ったのでしょうか、負けたのでしょうか。答えは、「どちらでもない」です。そもそもあれは戦争ではない。宣戦布告もない。アメリカは直接の当事者ですらない。それなのに、後遺症は今もなおアメリカ国民の心を深く抉り続けています。サイゴン陥落から50年という節目に、生井英孝先生の新書は教えてくれることが多くて新鮮です(「論文」ページ「書評」セクション)。