登場人物の描写に自然な厚みがあって、背景に史実があるかと思えるくらい。全編を通して醸し出される深い悲しみや喪失感が読者を優しい心にしてくれます。推理小説じゃないし、ネイチャー・ライティングでもないし、生物環境保全の話でもありません。孤独と信頼と愛の話かな。「ホワイト・トラッシュ」という見方がトランプの登場よりずっと昔からアメリカ文化に染みついていたこともわかります。訳業も優れています。ちょっと『ケイレブ』や『エデュケーション』を思い出しました。