Autumn 2006, H-404, TuF*5, Instructor: A. Morimoto
同性愛とキリスト教
この授業は、題目からしてキリスト教・倫理学・アメリカ研究という三重の焦点をもつ。その三つの円が重なるところに、同性愛という窓がある。受講学生は、この窓を通して、人間のセクシュアリティをどのように理解すべきかを考え、アメリカ社会の文化的な特性を考え、そして現代の性倫理に対するキリスト教の発言を考える機会をもつことになる。性は、人間の根源的なアイデンティティの一要素である。同性愛への態度決定は、アメリカの政治や宗教を左右する大きな争点であり続けてきた。その背後にあると考えられているキリスト教の倫理は、人間の性に対して本来どのような理解をもっているのか。この授業の目的は、キリスト教や同性愛に対して自分がそれまでもっていた通念を再検討することである。受講学生には、同性愛であると異性愛であるとにかかわらず、人間が性をもって存在していることの意義と、その性の活動を通して表現されるべき人間に固有の自由や尊厳を問う姿勢が求められる。
参考:受講学生からのメール
9/8 | 授業の内容紹介と基本概念の確認 |
9/12 9/15 |
講義(参照:ボズウェル第1,2章)=Web Search= 上記「三重の焦点」を満たすものを検索してA4一枚にまとめて提出 「経験」 第9, 10, 11章 |
9/19 9/22 |
「道徳理論」 第6章 No Class (日本基督教学会・上智大学) |
9/26 9/29 |
「科学」 第7, 8章 (Makeup: Extended to 19:00) ゲスト講義:小林牧人教授(理学科生物学) 「聖書」 第1章 |
10/3 10/6 |
「聖書」 第2章 「伝統」 第3, 4章 (Extended to 18:00) 参照:McNeill, The Church and the Homosexual |
10/10 10/13 |
Lecture by Dr. Jim Donahue, President, Graduate Theological Union Movie: "Brokeback Mountain" |
10/17 10/20 |
「決断」第12章 「決断」 第13章 |
10/24 10/27 |
Rudy, "Toward a Progressive Sexual Ethic" 諸宗教における同性愛 Swidler, Ch. 2 (Hinduism), Ch. 7 (Islam) |
10/31 11/3 |
諸宗教における同性愛 Swidler, Ch. 3 (Buddhism) (National Holiday, ICU Festival) |
11/7 11/10 |
諸宗教における同性愛 Swidler, Ch. 8 (China + Japan) 特別講演 「同性愛キリスト者として生きる」・ディスカッション 「人間の性とは」 |
11/14 | 総括 |
授業には必ず出席してください。発言や質疑などの積極的な参加を評価します。毎回発題とディスカッションを行います。学生の参加度を高めるため、前回は WebCT を使用しましたが、今回はたぶん Blackboard を使う予定。
毎週 Blackboard に小さな問いを出すので、それに対する「レスポンス・ペーパー」を前日 20:00 までにアップすること。他の学生のを読んで、それにコメントをすることもできます。なお、これは先回の授業で試みたもので、受講者数や実際の経過を見た上で、より適切な方法があれば変更するかもしれません。提案歓迎。 WebCT の利用者が多ければ、そちらを使います。WebCT なら、他の学生の Response Paper を事前に読んで共有することができるからです。
学期中に一度、テキストの一章を取り上げてグループ発題を行ってもらいます。
(1)事前にグループで担当章と対比章とを徹底的に読んで分析し、プレゼンテーションを作ること。
(2)発表のレズメを前日20:00 までにアップすること。
(3)当日のディスカッションの記録を取り、そのまとめを次のクラス日の前日 20:00 までにアップすること。ここまでを「発題」と見なします。
(4)これらは、その後のディスカッションや期末レポートに用いられる資料として蓄積されます。
(5)なお、グループメンバーには、発題については同一の評点が与えられます。
学期末には、授業での発題や討論や講義を踏まえて、論点を明確にしたレポートを書いてもらいます。詳細は、授業の中で指示します。A4用紙10枚以内。
評点の配分は、授業への貢献度が3割、発題が3割、期末レポートが4割です。前回同一主題を扱ったのは2004年秋で、その時のGPAは、A=5人、B=16人、C=7人、D=1人、E=0人で、2.86(計28人)でした(本学以外の受講生を除外して集計)。
講評: お二人とも、以下の点を学んでいます。
・以前の自分がもっていた寛容論の底が浅く、当事者の存在に正面から向き合わずに描かれた安易なものであったこと
・逆に、不寛容で差別的で閉鎖的に思われた不可解な他者にも、それなりの論理が通っていること
・そして、問題の複雑さと重層性は、肯定や否定といった外からの一面的な結論づけを許さないこと