Winter 2007, H-204, *5/TU *5/F, Instructor: A. Morimoto
テーマ: 宗教と暴力
近代世界は、宗教を非合理な過去の遺物として背後に押しやることを願ってきた。しかし、9.11のテロ事件は、それが幻想であったことをわれわれに教えている。今日の世界は、宗教を理解することなくして理解することはできない。しかもわれわれはそこで、単に宗教の存在や重要性を再認識したのではない。それがもたらすとてつもない暴力を再認識したのである。
いったい宗教は暴力とどのような関係にあるのか。そもそも、暴力とは何か。なぜ暴力は人間社会につきものなのか。それはまったく否定すべきものか。それとも、何らかの積極的な意味はあるのか。そして、人間の生に意味を賦与するシステムとしての宗教は、暴力をどのように解釈し、利用し、是認し、否定し、抑制するのか。これらはきわめて神学的な課題である。なぜなら、そこにあらわれる暴力の理解は、各人の神理解をそのまま反映させているからである。
この問題に限らず、大学で真剣に学ぼうと思う者は、あまり簡単な割り切り方をしないこと。「すべての宗教は平和を求めるものだ」というのは、お仕着せがましい思い込みの一つである。「それなのにどうして宗教間で戦争するのだろう」なんて、中学生みたいな問い方をするな。「宗教って何なのかをまず定義してもらわないと」というのはもっと愚かしい。定義なんかどこかへ捨てちまえ。そんなもので始めたら、どこにも行き着けません。そういう自分の先入見を破る新しい発見をしよう、という気構えでクラスに参加すること。
なお、秋学期の神学研究1とは原則的に連続していませんので、どちらか一方だけでも取れます。
読むテクストは、以下を含みます。
まったく新しいテーマのクラスなので、過去の成績の記録はありません。ただ、このクラスのGPAは、毎回2.7くらいです。過去のクラスの詳細は、このHPに掲載されていますのでご覧ください。評点の配分は、授業参加と発題が5割、期末レポートが5割です。
受講者数により進行と担当の詳細を決めます。
なお、授業内の特別講演が2回あります。
12/11 | Professor Theodore W. Jennings, Chicago Theological Seminary (See List of his 11 books at Amazon.com) "End of 20th century theology: contributions of continental philosophy to theology for the 21st century" |
12/12 | Students are also encouraged to attend his second lecture: "The Violence of God: Before and After" 13:30-15:00, Institute for the Study of Christianity and Culture, ERB-225 |
1/25 | Dr. Johannes Ro, Fordham University, New York "Violence in the Old Testament" (Tentative) |