HRe106J 神学概論2 Winter 2003-2004
目的
リベラルアーツの課程における「神学」は、聖書や教義を説明するための学問ではない。それは、各人の究極的な価値観を批判的に問うための知的訓練である。「神など存在しない」という言明も、神学を前提することなしには不可能である。この意味では、人間は神学なしに生の意味を考えることはできない。これは、ICUにしかない授業である。ヤワな知性に揺さぶりをかけられたい諸君は来たれ。
12/10 授業の概要説明、文献紹介、なぜ「神学」か
12/17 講義「現代神学は何を問うてきたか」ホーダーン教科書2-4章を読んでおくこと
(この日に発題の担当を決めます)
1/7 エーミル・ブルンナー(教科書5章)
「元ICU教授。真理は永遠普遍の客観的なものではなく、人格的な出会いとして生起する」
『出会いとしての真理』1, 2, 6章
1/14 カール・バルト(教科書6章)
「19世紀の楽観的な進歩信仰と人間中心思想の花園に爆弾を投げ込んだ今世紀最大の神学者」
『ローマ書』(著作集14巻)pp. 1-135(平凡社の文庫本あり)
「ハルナック往復書簡」(著作集1巻)
1/21 ラインホールド・ニーバー(教科書7章)
「現代アメリカ政治に最も影響力のあった神学者。民主主義の光と影を神学的に分析する」
『光の子と闇の子』(武田清子訳、聖学院大学出版局の新版あり)
1/28 パウル・ティリヒ(教科書8章)
「生きることは存在の不安を克服する勇気である。存在への勇気とは何か」
『生きる勇気』(著作集9巻)(平凡社の文庫本あり)
2/4 ルドルフ・ブルトマン(教科書9章)
「奇跡や神話を信じない現代人が神を語ることに、どのような意味があるか」
『イエス・キリストと神話論』(著作集14巻)
「神を語るとはいかなる意味をもつか」「奇跡の問題によせて」(著作集11巻)
2/18 ディートリヒ・ボンヘッファー(教科書10章)
「成人した世界での非宗教化されたキリスト教とは? ヒトラー暗殺を企て処刑された神学者」
『キリストに従う』(選集3巻)pp. 1-95
『抵抗と信従』(選集5巻)pp. 185-282
2/25 総括
教科書:ホーダーン『現代キリスト教神学入門』――売店で購入すること(\1,600-)
発題のためのリーディングはいずれも図書館のリザーヴに入れてあります。
参考書:『総説現代神学』(日本基督教団出版局)はもう少し踏み込みたい人のために。
COURSE REQUIREMENTS:
1 授業参加
このクラスは、学生の参加による相方向交流を期待します。授業には必ず出席して下さい。発題者以外の学生も、毎週教科書の該当章をよく読み、自分なりの「問い」をもって授業に臨むこと。発言や質疑などの積極的な参加を評価します。
2 発題
学期中に一度、上記神学者の一人につきA4用紙1-2頁のレズメを用いて15分程度の発題を行う準備をすること。実際の発題は、その中から適宜2-3人を選んでしてもらいます。レズメは前日火曜日正午までに私の研究室 (ERB227) に提出すること。クラス分のコピーはこちらでします。時間までに提出できなかったものは、原則として取り扱いません。
これはその本に何が書いてあるかをまとめる「ブックレポート」ではありません。教科書の該当章と課題図書の中から、自分が理解した限りで、問いと答えとを組み立てて下さい。以下の点に留意すると、よい発題ができます。
Q.その神学者は何を問うていたのか。なぜその問いが重要だったのか。
A.彼はそれにどういう答えを与えたのか。そしてその答えは説得的か。
「この神学者は〜と言っています」ではなく、本人になりきってロールプレイをするつもりで。
3 期末レポート
授業での発題や討論や講義を踏まえ、問題設定を明確にしたレポートを提出すること。A4用紙10枚以内。評点の配分は、発題が3割、平常点が3割、期末レポートが4割です。前回同テーマ同時間割で行われた授業のGPAは2.67、前々回のGPA は、2.70でした。
グレード (Evaluation)
評点の配分は、発題が3割、授業貢献度が3割、期末レポートが4割です。
前々回のGPA は、2.70(53人のうち、A=16人、B=18人、C=9人、D=7人、E=3人)でした。
前回のGPAは2.67(61人のうち、A=25人、B=17人、C=5人、D=2人、E=11人)でした。