GEX001J (A) キリスト教概論   Winter 2011, 3/MWF, H-315, Instructor: A. Morimoto
 

目的

 
 学問とは「問うことを学ぶ」ことであるが、真の学びはむしろ「問われることを学ぶ」ところに始まる。われわれは、自分が問う主体であるばかりでなく、問われる主体であることを知ることにおいて、真実に学ぶのである。国際基督教大学がこのクラスを唯一の必修としているのも、このゆえである。本学に学ぶ学生は、一人一人がみずからの実存においてこの問いかけを受け止め、それぞれのしかたで答えを模索することを求められている。したがってこのクラスにおいては、知の対象としてキリスト教を批判的かつ立体的に扱う道を学びつつ、単にキリスト教の教義や聖書の内容を直接に扱うのではなく、それらが現代の特に日本のわれわれにどのような問いかけとして立ちあらわれるか、という観点から論じられる。リベラルアーツ課程の要には、批判的な知の形成という課題があるが、それは他人の考えに批判的になることではなく、何よりもまず自己自身がもつ世界観や価値観を問いに付すことによって遂行される。キリスト教についてこれまで学んだことがある者もない者も、ともに従来の理解を脱して新しい発見に至るような授業となることを願っている。

目標

「中学や高校で聖書科の勉強をしました」なんて間の抜けた自己紹介をしないように。そんな知識は窓から投げ捨ててください。逆に、「わたしは公立だったし、予備知識が何もないので」なんていう言い訳も通用しません。あなたの頭の中には予断と偏見がいっぱい詰まっています。

ついでに一言

わたしは、出席しなくてもよいような授業はしません。ICUに入学した以上、君たちは日本の他大学の学生のように振る舞ってはならない。高い学費を払って(もら)いながら、授業を欠席するような甘えた根性の学生がいるのは日本だけです。君たちが競うべき相手は、そんなところにはいないぞ。この授業は毎回、わたしや一緒に学ぶ学生との真剣勝負です。しっかり覚悟を決めていらっしゃい。


教科書(売店その他で購入すること)

 森本あんり『現代に語りかけるキリスト教』(日本基督教団出版局)\900-

参考書・辞典類(図書館のリザーヴやレファレンスにあります)

・『旧新約聖書』(これから買う人には、日本聖書協会版の口語訳か新共同訳を勧めます)
・『世界キリスト教百科事典』(教文館)世界の統計的な資料。
・アエラムック『キリスト教がわかる。』(朝日新聞社)わたしも執筆しています。
・八木谷凉子『知って役立つ・キリスト教大研究』(新潮文庫)いわゆる便利本。どうぞご勝手に。
・井上洋治『キリスト教がよくわかる本』(PHP文庫)カトリック神父による信仰問答。安い。
・ミューラー『福音主義神学概説』(日本基督教団出版局)拙訳。難しい。カルト対策。
・森本あんり『使徒信条――エキュメニカルな神学黙想』(新教出版社)じっくり考えたい人に。

注意

 
1. 授業は必ず出席すること。周囲に迷惑なので、遅刻もしないように。出席すれば必ず単位がもらえるというわけではありませんが、出席しなければ必ずEがつきます(Three-Strike Out)。
2. 質問や意見などによる授業への積極的な参加を評価します。「質問票」を配りますので活用して下さい。やりとりにはニックネームを使います。
3. 期末試験をします。自分のノートだけ持ち込み可。聖書も教科書も配布プリントも持ち込みできません。中間試験はありませんが、ヴィデオを見てやる小クイズなどを数回やりましょう。配点は、質問やコメントなどによる授業内容への貢献が2割、小クイズが2割、期末試験が6割です。
4. 2010年度の GPA は 2.79、計150人のうち、A=46人、B=50人、C=39人、D=7人、E=8人でした。


講義内容

(というか、わたしの教科書の目次です。でも全部やったことは一度もありません)

はじめに

1章 世界

 1 なぜキリスト教か
 2 非西洋化するキリスト教
 3 日本人とキリスト教

2章 自然

 1 創造と進化
 2 創造者と被造者
 3 自然の秩序と奇跡信仰
 4 環境問題とキリスト教

3章 人間

 1 原罪神話と人間の現実
 2 人格の向き合いの中で
 3 労働する人間
 4 苦難の意義を問う

4章 生命

 1 交わりの中にある生
 2 挑戦に応えて生きる
 3 無前提の性倫理はあるか
 4 生の自己決定権とは

5章 社会

 1 信教の自由と人権
 2 宗教集団の3類型
 3 自発的結社とカルト
 4 私の宗教と公の倫理

6章 真理

 1 他宗教の真理
 2 無神論の真理
 3 出会いの真理


これまでの年度で結果的に重点主題となったテーマ:

 ・「宗教とテロリズム」・「日本人の宗教性」・「正統と異端」・「人はなぜ何かを信ずるのか」
 ・「批判的思考とは」・「他宗教を理解するとはどういうことか」・「宗教とカルトの境目」