宗教学特別研究 HRe300J Spring 2000
Objectives:
この3月に、ICUはアジア各国と米国から諸大学の行政者と研究者を招き、21世紀のキリスト教高等教育に関する国際会議を主催した。そこで問われたのは、「キリスト教大学」とは何か、という問いである。その中には、ICUに学ぶ者と教える者が常に問い続けてきた、大学における学問と信仰の問題も顔を出している。このクラスでは、まずこの会議で展開された議論の概要を共有し、次いでそこに前提されている問題意識の由来を尋ね、その一端として20世紀に提起された宗教的言述の学的性格についての諸問題を振り返る。どこまで進めるかは大きな疑問だが、目論見としては、回顧ばかりではなく、アメリカの大学の現状の批判的考察から日本の大学、ことにICUのようなキリスト教大学の課題と将来について、展望を開く議論が生まれることを願っている。
Texts:
さしあたって以下の文献を手がかりに挙げておく。いずれも購入可能である。
A. J. Ayer, Language, Truth and Logic(エイヤー『言語・真理・論理』岩波書店)
W.V.O. Quine, From a Logical Point of View(クワイン『論理的観点から』勁草書房)
Plantinga and Wolsterstorff, eds,, Faith and Rationality (University of Notre Dame, 1983)
George Marsden, The Outrageous Idea of Christian Scholarship (Oxford University Press, 1997)
稲垣良典『神学的言語の研究』(創文社)
Requirements:
1,このクラスは「特別研究」です。『要覧』にある通り、登録に先だって私の受講許可を得て下さい。E-mail で登録日までに連絡すること。少人数のゼミ形式で行うため、神学や哲学や大学論の基本文献に腰を据えて取り組む覚悟のある学生だけを受け入れます。
2.授業初日 (4/12) におおまかなスケジュールと分担を決めます。受講する学生は必ず出席して下さい。初日に限らず、授業参加は学生生活の top priority です。その認識を共有してもらうことを期待します。
3.期末レポートを提出してもらいます。長さやテーマについては後述。評点の配分は、分担発表が3割、質疑や意見などの積極的な授業参加が3割、期末レポートが4割です。
Schedule:
4/12 序論、クラスの目的、スケジュール
経験主義的知識論の20世紀的崩壊
ローティ『哲学と自然の鏡』
同 「宗教と科学は対立するものなのか」(『思想』2000年3月号所収)
4/19 The United Board for Christian Higher Education (UBCHEA)
March Conference Papers (Morimoto, Cook, Wood, Bucher)
The Association for Christian Universities and Colleges in Asia (ACUCA)
December Conference Papers (Brother Andrew, Morimoto)
4/26 Marsden, The Soul of the American University
Burtchaell, The Dying of the Light
Noll, The Scandal of the Evangelical Mind
Huges and Adrian, Models for Christian Higher Education
Sloan, Faith and Knowledge
5/10 Reviews by: Bruce Kuklick
Diogenes Allen
Leo Ribuffo
Carolyn Mooney
5/17 Marsden, The Outrageous Idea of Christian Scholarship
5/24
5/31 論理実証主義の光芒と遺産
6/7 エイヤー『言語・真理・論理』
クワイン「経験主義の二つのドグマ」(『論理的観点から』所収)
同 「自然化された認識論」(『現代思想』1988年7月号所収)
Plantinga and Wolsterstorff, eds., Faith and Reason
稲垣『神学的言語の研究』
同 「パースの習慣論」(『習慣の哲学』所収)
6/14 総括