GCA476J Human Rights II(人権論 II)
  Autumn 2000, 567/F, H-107B, Morimoto
 
 
1. Objectives
 
人権思想の淵源としての「寛容」「政教分離」「信教の自由」を、特にアメリカ的な文脈で検証する。公立学校での祈祷問題など、米国憲法修正第一条をめぐる現代の諸論議を起点とし、これを歴史的文脈から見直すために、ロジャー・ウィリアムズに焦点を当て、多元的社会における啓蒙主義的な「寛容」論とウィリアムズ的な「信教の自由」論との対比を試みる。現代リベラリズムの枢要課題とみなされている「寛容」の論拠をいくつか類型的に析出し、それぞれの妥当性を比較するところまで進めれば幸いである。
 
 
 
2. Schedule (Subject to Change)
 
9/8 序論:「寛容」「信教の自由」「政教分離」の歴史的水位
多元的社会における複数モデルの提示
 
9/15 (敬老の日)「国際シンポジウム」に自由参加
1:00-5:30池袋「メトロポリタンプラザ」12
講演:Max Stackhouse「アメリカにおける市民社会と国家」
 
9/22 Reading: Hall, Introduction
Sub-theme: 今世紀アメリカ最高裁判決判例に見る政教分離
 
9/29 Reading: Hall, Chaps. 1 and 2
Sub-theme: イェリネック『人権宣言論争』
 
10/6 Reading: Hall, Chaps. 3 and 4
Sub-theme: ニューイングランドにおける政教分離
 
10/13 Reading: Hall, Chap. 5
Sub-theme: ロック『寛容についての書簡』
 
10/20 Reading: Hall, Chap. 6
Sub-theme:「憲法修正第一条」と寛容の諸論拠
 
10/27 休講(台湾東海大学へ公務出張のため)
Reading: Anri Morimoto, "Honoring the Plurality of Pluralisms: Different Models
of Pluralism in a Context of Globalization"
 
11/3 (文化の日)
 
11/10 総括
 
 
 
3. Reference
 
a. 人権論とそのアメリカ的淵源
 
 ・高木他編『人権宣言集』(岩波書店)
 ・イェリネック対ブトミー『人権宣言論争』(みすず書房)旧版もある
 ・マーネル『信教の自由とアメリカ』(新教出版社)
 ・熊本信夫『アメリカにおける政教分離の原則』(北海道大学図書刊行会)絶版
 ・William Lee Miller, The First Liberty: Religion and the American Republic (Paragon House
  Publishers, 1985)
 ・Terry Eastland, ed., Religious Liberty in the Supreme Court: The Cases That Define the   Debate over Church and State (Eerdmans, 1993)
 ・George Anastaplo, The Amendments to the Constitution (Johns Hopkins UP, 1995)
 
b. ロジャー・ウィリアムズ
 
 ・久保田泰夫『ロジャー・ウィリアムズ』(彩流社)
 ・Roger Williams, Complete Writings, 7 vols., New York Edition
 ・Perry Miller, Roger Williams: His Contribution to the American Tradition (Bobbs-Merrill,
  1953)
 ・W, Clark Gilpin, The Millenarian Piety of Roger Williams (Univ. of Chicago Press, 1979)
 ・Edwin Gaustad, Liberty of Conscience: Roger Williams in America (Eerdmans, 1991)
 
c. リベラリズムと寛容論
 
 ・ロック(中央公論社『世界の名著』32
 ・トレルチ「近代世界の成立にたいするプロテスタンティズムの意義」『著作集』第8巻
  (ヨルダン社)
 ・メンシング『宗教における寛容と真理』(理想社)
 ・ロールズ『正義論』(紀伊国屋書店)
 ・サンデル『自由主義と正義の限界』(三嶺書房)
 ・田丸・星川・山梨『神々の和解:21世紀の宗教間対話』(春秋社)
 ・Michael Walzer, On Toleration (Yale Univ. Press, 1997)
 
 
4. Requirements
 
a. このクラスは基本的にゼミ形式でおこなわれます。学生はそれぞれ分担箇所を精読し、クラスで発表すること。毎週まとまった時間を準備に充てる覚悟が必要。主テクストは Timothy Hall, Separating Church and State: Roger Williams and Religious Liberty (Univ. of Illinois Press, 1998) $19.95- を用います。図書館のリザーヴに載せておきますが、安価なので可能ならば各自 Amazon.com などで前もって購入しておくとよいでしょう。
 
b. 学期末にはレポートを課します。レポートの主題は授業が進行するうちに焦点が定まってゆくでしょう。成績の評価は、クラス内での発表が3割、質問やコメントなどによる積極的な授業参加が2割、それに期末レポートが5割の配分でおこないます。
 
c. 各受講生の理解に応じて説明を加えてゆくので、特に予備知識は必要ないはず。第一回の授業では、授業の目的と概要を説明し、基本的な概念の枠組みを紹介した上で、発題の分担を決めるので、必ず出席して下さい。