HRe103J キリスト教史2

Spring 2006, H-201, Tu3/Th23, A. Morimoto

OBJECTIVE

主題:アメリカのキリスト教史

アメリカのキリスト教というと「ブッシュとネオコン」の話だというのでは、何も理解したことにはならない。このクラスは、ニュースメディアに溢れる情報の羅列を越えて、自由や民主主義などといったアメリカという国家の「理念」が作る光と闇を問うクラスである。アメリカは、歴史的にも現在も、例外主義と普遍主義が表裏一体をなした国である。その両面を基礎づけているのは、アメリカに独特なキリスト教である。ICUに入学した諸君には、日本のアメリカ理解に決定的に欠けているものを補って、バランスのとれた深みのあるアメリカ像をもってもらいたいと願っている。

なお、このクラスは、秋学期の「キリスト教史1」を取っていなくても受講できます。


SCHEDULE

4/11
4/13
序論 この授業について
「アメリカ」のはじまり、新しい世界像とコロンブス
4/18
4/20
ニューイングランド・ピューリタニズム
ピルグリムと「メイフラワー契約」の意義
<Web Search 提出>「ラス・カサス」

4/25
4/27
ハーヴァード大学、アン・ハチンソン論争
ロジャー・ウィリアムズの追放と建設
5/2 セイラム魔女裁判、Video: "Days of Judgment"
5/9
5/11
大覚醒とホイットフィールド
映画「エルマー・ガントリー
<Web Search 提出>「ジョナサン・エドワーズ」

5/16
5/18
独立・憲法制定と政教分離
<中間試験>・南北戦争とリンカン
5/23
5/25
膨張の正当化 「明白な天命」のメシアニズム
終末待望と新興キリスト教諸派
5/30
6/1
(モルモン教・エホバの証人・シェイカーなど)
奴隷解放運動から女性解放運動へ
6/6
6/8
原理主義と自由主義・禁酒法
人種差別と教会 Video: "Ku Klux Klan: A Secret History"
<Web Search 提出>「ネイティヴィズム」

6/13
6/15
預言者的伝統・キング牧師と神学者ニーバー
Video: "Investigative Reports: Inside Polygamy"


REQUIREMENTS

  1. 授業には必ず出席すること。2限のクラスは10時10分からです。あまり遅刻が過ぎたら、入室をお断りします。途中で教室に入ってくると、私も集中を乱されますし、周りの学生に迷惑です。休憩時間になるまで待って入ってください。

  2. 歴史のクラスでは、事実関係を理解することが重要です。出題範囲を半分に限定するために、中間試験と期末試験を行います。形式は、中間・期末ともに、単答式と記述式の両方を含みます。その際には、ノートなどを見ることはできません。つまり、授業を聞いて理解してあればできる内容だ、ということです。

  3. 授業理解の視覚的な参考にするため、英語のヴィデオを数回見ます。その内容も試験範囲に含みます。

  4. その他に、<Web Search>の小課題を3回提出してもらいます。これは、与えられた主題について、ウェブなどで検索の上、A4一枚のレポートにまとめることです。明記された提出日を守ること。


GRADES

評点は、テストや提出物の総計に、出席や授業への貢献度を加味して出します(ちなみに、2005年度は、A=24人、B=20人、C=11人、D=2人、E=6人の計63人で、GPA=2.86でした)。

REFERENCE

使用テキスト(売店などで購入してください)

・森本あんり『アメリカ・キリスト教史――理念によって建てられた国の軌跡』(新教出版社、4月末発行予定)

日本語では、「アメリカ史」はありますが、「アメリカのキリスト教史」は多くありません。
翻訳書もありますが、信頼できないことが多いので薦めません。

総説の基本文献を以下に挙げておきます。他に、個別文献は必要に応じて授業中に紹介します。

・Sidney Ahlstrom, A Religious History of the American People
・Winthrop Hudson, Religion in America
・Mark Noll, A History of Christianity in the United States and Canada
・Edwin Gaustad, A Religious History of America