PHR 385J 神学宗教学特別研究

Spring 2008, W/567, H-205, A. Morimoto

目標

内容

人間をもっとも深く傷つけるのは人間である。
われわれの人生には、自然の災害もあれば不慮の運命もあろう。
しかし、われわれのもっとも深い苦しみは、人と人との関係における傷によるものである。
われわれの社会は、ゆるしなくしては傷だらけになってしまうであろう。
だが、ゆるしはけっして容易ではない。
「ゆるしなさい」 と言われて 「はいそうですか」 とゆるせるものではない。
キリスト教は 「ゆるしの宗教」 といわれるが、聖書ではゆるしはどのように理解されているのか。
神の 「赦し」 と人の 「許し」 はどのように関係するのか。
過去の哲学者や神学者たちは、ゆるしをどのように理解してきたのか。
ゆるしは、道徳の弛緩、法律の無視、正義の蹂躙を招かないか。
ゆるしは、心理学的にはどのような内容を伴うのか。
ゆるすことは、忘れることなのか。
ゆるすことは、よいことなのか。
永遠にゆるされざることもあるのか。
加害者は、どうしたらゆるしを受けることができるのか。
被害者は、いつどのようなときにゆるしを与えることができるのか。
ゆるしなくして、癒しや和解は可能か。
仏教やイスラム教では、ゆるしはどのように考えられているのか。
ゆるしには文化的な違いがあるか。
ゆるしは個人間の倫理にのみ適用されるものか。
ゆるしは政治の場面ではどのような意味をもつか。
日本と中国や韓国は、なぜいつまでも和解できないのか。
日本とアメリカは、真珠湾攻撃と原爆投下をどのように理解しているのか。
――以上は、この授業で問われることになる問いのほんの一部である。

参考文献

成績

出席して討論に参加することが40%、発表が30%、期末の課題レポートが30%です。なまける学生は、ゆるしませんぞ。

備考

最初に導入の講義をした後は、学生の発表を主体として基本文献の読解と討論を進めます。
わたしのもとで卒業論文を執筆しようとしている学生は、可能な限り受講してください。

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